湖乃柄ユズルの『だらけすぎなラプソディ(死』

声とか趣味で展示したりとか、イラストとか自作乙女ゲーの話とか色々書いてます。

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オリバトのキャラ語り

20060312013900


オリバトのキャラ語り


―渚―


『どうしょうもない奴だな。』

そう言って貴方が私の頭を小突いてにこやかに笑うのは、
私の前だけ…

いつも無表情な貴方が、凄くやさしい顔をする。
私はそれを見るのが嬉しくて、いつもいつも貴方について回った。

でも、時々見せる表情とは裏腹に不安もよぎるんだ。
貴方が私を置いてどこかに行ってしまうんじゃないかって…

だって私は、貴方が見せるいつもの冷たい表情が
何故できてしまったのか…

―心の奥底をまだ、知らないから…






―木利―



―だったら、俺が木利を一番に理解してあげるよ。

別に頼んでもいないのに、貴方は私から勝手に話を聞き出して
勝手な解釈で、勝手なことを言った。
それがはじめて彼と話したきっかけ。

クラスの連中が、私をどう思っていようと関係ないと思っていたし
それに対して苦痛を伴う…何てことなかった。
ただ、私は政府のあの狸オヤジからの指令を待つために
教室でただ、黙々と本を読んで暇をつぶしていただけだったのに…

―なんか…木利はさ…いつもどこか一線引いているよね。

当たり前だ。私には情など持つことを許されないのだから…
周りの連中には楽しくしているフリでもしておけばいい。
そうすれば、全て上手くいくし全てが丸く収まる。

―寂しくないの?

寂しい?それはどんな感情なんだろう。
物心つく前から己の身体データや、技術力などを教え込まされて、
周りの人間はいつも、それが終われば私に話し掛けることも褒めてくれることもな
かった。
部屋の中は真っ白で、いつもいつも一人で…

『これが寂しいということなんだろうか…』

気がついたら、みたこともない水滴が自分の眼から溢れていて、
その雫が、己の机をパタリパタリと濡らしていた。
訳も分からず、私はその雫を拭った。

―ねぇ木利。寂しいと思うことは恥ではないよ。

―俺も、ずっとそうだったんだよ…

『貴方も、寂しいの?』

そう口にした瞬間。
貴方の顔が一瞬曇り、そして柔らかく微笑んだ。

―もし、木利を理解してくれない人間しか、まだこの世界にいないのなら…

―だったら、俺が木利を一番に理解してあげるよ。


どうしょうもなくお人よしで、
どうしょうもない…まったくもって救いようのない人だと思った。
けど、私心をジュンと溶かす何かになった…
そう…確かに何かになったんだ…


寂しい?

悲しい?

苦しい?

いいえ。

今は、温かい…




―希沙―

―希沙…お前は将来、この斑鳩の当主になるんだよ。

気づいた時には、
目の前には父親の残骸が転がっていた。
見るも無残に、原形を留めておらず父親と呼ばれていた『モノ』が
ただ、床に転がっていただけだった。

母の実家の『斑鳩』は昔から苦手だった。

自分達の力が非力なくせに
ただ吠えることばかりしかしないアホ連中。
今時の古い考えを押し付けるジジイやババア達。

今のご時世に、腕力で上になりあがる考え方なんて古いんだよ。

いつも喉まで出掛かっていたけれど、
それを言うことをやめていた。
あたしが何かをしたら、双子の『紗希』にまで
とばっちりが来ると分かっていたから…

けど、あたしがまだ本家にいたときはまだ良かった気がする。
母が離婚して、あたしは父に引き取られた。
別になんてことはない。今時ありがちな価値観の相違。
実際、力しか物言わぬ斑鳩の規律を馬鹿みたいに守っていた母は
中々上にあがれない父に対して苛立ちを覚えていたようで…
だから、離婚と称して本家を出た。

―までは良かったのに…

血みどろの自宅で見たものは、
父の残骸と、本家で何度か見かけたことのあるボンクラ共。
あたしは、変わり果てた父のその表情と姿と…
とにかく全てに震えが止まらなかった。

『おいおい。俺達をあざけ笑ってた女がいるぜ。ヤっちまおうぜ。』

叫び声がこだまする家には、誰もいなくて
助けてくれるはずの人の名前さえ遠くて…
ただ否定の言葉だけが、あたしの唇から漏れ出すだけだった。

『お前なんか、お前なんか男の上で腰を振っていればいいんだ!!』

『何が次期当主だ!?俺の方が強いに決まってんじゃねーか!!!』

震えの収まらない身体を拘束されて、
あたしは奴らに犯された。
見開いた…死体の父の、涙を流した跡が…
異様に忘れられなくて…

―ごめんね。お父さん…

『ハハッ!!今までびびってた俺達が馬鹿だったな!
なんてことはない。ただの女だ。』

馬鹿共の一人が、行為を終えるとそう口にした。
あたしはやつらの汚い汚物を全身に浴びた格好でその言葉を聞いた。
悔しくて、やるせなくて…
己の非力さを呪って…
感情などなくなってしまえば…そう思って…

『紗希のおっしゃるとおりこの女はてんで駄目だ。当主の器じゃねぇ』

さ…き…?

『あぁ。恐怖で足がすくんで…ほら、見て見ろよ。まだ震えてるぜ。
ヤりたりないってっか?ハハッ!!!』

容認してた。
あたしが犯されて苦しむのを…
あんたは、容認してた?
ねぇ…あたしが何したの?
ねぇ?あたしが何をしたというの?

気づいたら、そこはさらに真っ赤な血の海に染まって
見るも無残な醜い残骸が転がっていた。

『ねぇ…オトウサン…フフッあたしねぇ…生きる意味…見つけちゃった。』

父の体からほとばしった、未だ乾ききっていないその血液をそっと救い上げて舐め
た。

『ん。苦い。』

―憎んで殺したいと思うのはあんただから。

―だからねぇ。あんただけはあたしの手でゆっくり、じっくり…確実に殺してあげる。

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