湖乃柄ユズルの『だらけすぎなラプソディ(死』

声とか趣味で展示したりとか、イラストとか自作乙女ゲーの話とか色々書いてます。

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オリバト語りその2

―孝司&観音寺―



―もし、僕が死んだらこれを頼むよ。

そう言って差し出された一冊の分厚い本。

中には、数枚のディスクとフロッピーが
本のページを刳り貫いた中に入っていた。





俺がまだ、小学生だった頃。
兄貴のクラスがプログラムに選ばれた。

愕然として、泣きじゃくる母親。
父は、唇をかみ締めてただ母さんを抱きしめていた。
その頃の俺は、何がなんだかわからず
修学旅行に出かけた兄貴のことを、
どうしてこんなに両親が泣き叫ぶほど心配になるのか不思議でならなかった。
だって、修学旅行だろう?一生あえなくなるわけじゃない。
ただ、漠然とそう思っていたから。


―けれど、それから2週間後…


ようやく旅行から帰ってきた兄貴の様子が変わった。
日々、何かに脅えているような…
暗がりを極端に嫌い、そして外に出歩かなくなった。
今にして思えば、毎日のように家にきていた兄貴の友達でさえ来なくなった。

あの、帰宅した日を境に兄貴はパソコンに向かうようになる。
元々、そういうことに詳しかった
兄貴が朝も昼も夜も寝ずに何かに打ち込んでいる姿は
ガキながら、不気味でならなかった。



そして…


俺は、気がつくと…
そのプログラムの存在を認識できる年になっていた。
相変わらず、兄貴はパソコンに向かっていたがちょうど
2年ほど前から奴は行方をくらましていた。


―そう。一冊の本と悪夢の物語を残して…



『僕は、5年前あの”プログラム”に選ばれたんだよ。』


ずっと籠もりきりだった兄貴が、ふと俺に漏らした言葉。
ポツリポツリと語り始めたその言葉に俺は目を丸くした。


クラスメイト同士の殺し合い。
好きな人を守って行動そしていたのに、結局守れなかったこと。
大好きだった親友の裏切り。
己の生きたいという強い思念のために、犠牲にしてしまった人々。
そう、悪夢のような日々。


『僕は人殺しなんだ。この手で何人も友達を殺した。何人も犠牲にした。』



―ただ、生きたかっただけなのに。



『だから、孝司。お前もあの時の僕と同じ歳だから…だから、これを持っていて欲しい。』


分厚いその本の中身は、ディスクとフロッピー…



『もし、僕が死んだらこれを頼むよ。』



そして―…



『もし、お前が選ばれた時はこれを使ってやつらの鼻をあかしてやるんだ。
そうしたら、きっと僕は奴らに少しだけ屈辱を味わわせられるから…』



―お前を利用してしまうようでごめんな…



だから、僕はお前に僕の知り得るだけの知識を与えてやる。


―だから…


『やつらに復讐をしてくれ。』



それなのに…

それなのに…復讐を誓ったはずなのに…

あんたは俺の前に現れた。




―君達に、殺し合いをしていただくよ。



復讐を誓ったはずのあんたは、弟である俺など見向きもせずに
淡々と"殺し合い"というキーワードを口にした。


兄貴…俺は…俺にはわからないよ。


復讐を誓ったはずのあんたが…


あんたを…どうして俺がやらなきゃならないんだ…

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